ダイエットとは食事がすべてである

人間の恒常性を壊し、自然と太り続けてしまう原因となる種々の要素を解説する前に、改めて痩せるという意味においてのダイエットでは、食事こそが重要であるということを確認します。

普通ダイエットにおいては、食事とともに運動の大切さが強調されがちです。運動をしないと痩せない、と信じている人も少なくないでしょう。しかしこれはまったくの間違いです。

私自身はトレーニングのプロであり、また誰よりもトレーニングが好きであるという強い自負があります。できるだけ多くの人にトレーニングの楽しさを知ってほしいと思っていますし、実際やりがいにあふれた素晴らしいライフワークとなりえるものです。ですが公平かつ客観的な視点に立つと、ダイエットとトレーニングはまったく関係ないと断言します。

これはたとえばお相撲さんやプロレスラー、ラグビー選手などを見れば一目瞭然ですが、どれだけ激しい運動をしてようと、それに関係なく太るときは太るということです。あるいはジムでハードにトレーニングを行っている人でも、コンテスト前のボディービルダーなど以外は、大抵ある程度の脂肪がついた体をしています。これは筋肉量を増やすための絶対的な原則として、増量する上では多少の脂肪がつくことも許容しないといけないので、当然といえば当然のことです。

今度は逆の観点から考えてみましょう。まったく運動しないような人でも、みながみな太っているかというと、もちろんそうではありません。病気や障害などによって、寝たきりで動くことすらままならないような方でさえそうでないことは、皆さんご存知だと思います。筋肉量が多いと痩せやすく、少ないと太りにくいという考えもありますが、極端に筋肉量の少ない女性でも、もちろん痩せている人が大勢いることは周知の通りです。

筋肉量が1kg増えると、一日の消費カロリーは50kcal程度増えると言われています。一ヶ月にすると50×30で1500kcal、一年にすると50×365で18250kcalになります。体脂肪1kgを7200kcalとするならば、18250÷7200で、およそ2.5kgです。筋肉が1kg増えたら一年で2.5kgも痩せられる、これは一見すると説得力を持つように感じられるでしょう。しかしこんなものは机上の空論でしかありません。

なぜなら人間とは、必要とするエネルギーが増えたならば、それに従って食欲も増加するからです。たとえ消費カロリーが増えたとしても、そのぶん摂取カロリーが増えてしまえば、すべてが元の木阿弥となってしまいます。一日に50kcalというのは、ご飯を一口か二口、多く食べればそれで相殺されてしまう程度の量です。

このことは同じように、運動をしてカロリーを消費したとしても、その後の食事でいつもより多く食べてしまえばダイエットとしてはなんの意味ないということを表します。体を動かし汗をかけば、いつもより食欲が増し、ご飯もおいしく感じられる。そのことは誰しも経験上わかるのではないでしょうか。

ですが多くの人がこれらの非常に重要でかつ基本的なことが、頭からすっぽりと抜け落ちているのです。そしてそのことが抜け落ちた上で、ダイエットについて運動の重要性が強調されます。

そもそも運動をしてそのぶんカロリーを消費するという行為がナンセンスと言えるでしょう。痩せることを目的とするならば、運動せずともその分の摂取カロリーを減らせばいいだけなのですから。

たとえば減量期のボディービルダーにおいても、そのことに気づかず、しなくてもいい有酸素運動を無理に取り入れたりする人が少なくありません。もちろん食事量が同じであれば、有酸素運動によって減量速度を加速する効果はあります。また心肺機能の強化として、あるいは単に好きだからという理由で有酸素運動をすることは、有用で意味のあることです。ただなるべく筋量を維持しながら減量するという目的からすると、外れていると言わざるをえません。普段は行わないような有酸素運動をする前に、まず食事量を限界まできちんと制限することを優先させるべきです(ちなみに私は有酸素運動が好きであり、心肺機能も強化したく、コンテストに出るわけでもないため筋量の維持を第一に考える必要もないので、減量中は積極的に有酸素運動を行いますが)。

では減量中のトレーニングとはまったく意味のないものなのでしょうか? そうではありません。ダイエット、つまり痩せるということに関して直接的な効果はありませんが、別の大切な意味を持ちます。それは筋肉量を維持するという点においてです。これはマラソンなど有酸素的な運動ではなく、無酸素的なウェイトトレーニングにおいてより効力を持ちます。

このことをより正確に表現するなら、体を変える直接の契機は常に食事であり、トレーニングとは「どのように変えるのか」を左右する要因であるということです。これはダイエットのみならず、筋肉を付けるということにおいても当てはまります。ただこれ以上のトレーニングに関する話は、別ブログである「トレーニング大全」にて詳しく行いましょう。

いずれにせよダイエット、太るか痩せるかということに関しては、摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって決まります。そしてどれだけ運動によって消費カロリーを上げようと、あるいは筋肉量の増加によって消費カロリーを上げようと、摂取カロリーしだいで太ることにもなってしまうのです。逆にどれだけ消費カロリーが少なかろうと、それに見合った摂取カロリーならば太ることはありませんし、痩せることにもなりえます。

つまり無理なく継続して体重をコントロールするためには、消費カロリーに見合った食欲にするということが一番大切なのです。そのことを大前提として、次のエントリーからは各論に入っていきます。