糖質制限とカロリー制限の混同問題

『糖質(炭水化物)制限ダイエット』といったとき、少なからぬ場面で次の2つが混同されています。


ひとつめは、普段の食事から糖質をカットし、その分の減ったカロリーを、ほかの栄養素であるたんぱく質や脂質で補うというもの。ただ、普通の人は厳密なカロリー計算を行うわけではないので、より正確に表現するなら、普段の食事から糖質を多く含む食材を省き、そこで満たされない食欲分を、低糖質な食材で補うということです。

つまり自分の食欲自体は抑えず、それに対して忠実である、ということを意味します。

この方法で痩せるかどうかのキーとなるのは、自分の食欲に従っていても、結果的に摂取カロリーを抑制する方に向かいえるのか、ということです。

以前も説明したとおり、ダイエット、つまり体脂肪を減らすためには、体が消費するエネルギーが、体が摂取するエネルギーを上回らなければいけません。これはダイエットにおける絶対的な法則です(参照:ダイエットにおける唯一絶対の法則)。

前項で説明したとおり、糖質には過剰摂取を促すような麻薬的な性質があり、多くの人は糖質を制限することによって、食欲自体が体の本来必要とするところまで下がる、という傾向があります(参照:糖質とは麻薬である)。


ふたつめは、普段の食事から糖質をカットするだけで、ほかの栄養素(たんぱく質・脂質)で補うことはしないというものです。これも確かに糖質制限ダイエットと呼びうるものですが、あくまでもカロリー制限ダイエットの一形態にしかすぎません。

そしてカロリーを制限すれば、痩せることは当たり前です。普段の食事から糖質を抜くだけならば、必ず摂取カロリーは消費カロリーを下回ることになり、やせるというのは至極当前の結果となります。

ここで焦点となるのは、そのような糖質制限によるカロリー制限ダイエットが、ほかのカロリー制限ダイエットに比べて、身体や精神にとって負担が少ないか、安全に行えるか、手軽で継続的に行えるか、リバウンドの危険性が高いか低いか、などといったことです。

糖質を制限しだす特に初期の段階では、その離脱症状によって負担を感じることも少なくありませんが、基本的には以上の点すべてにおいて、糖質制限ダイエットはほかのカロリー制限ダイエットよりも優れています(細かい注意点などは別の項目で触れる予定です)。


ただ以上ふたつの異なる糖質制限も、目指している本質は同じとなります。つまり、「いかに摂取カロリーを抑えるか」ということです。

前者のほうは、過剰摂取をしないような食欲に、ちょっとずつ体を慣らしていくことになります。そのぶん、やせるまでには多少なりとも時間がかかってしまうでしょう。ただ精神的・肉体的な負担はあまりないと思います。

後者ははじめからカロリー自体を減らしているぶん、すぐ劇的に痩せますが、精神的・肉体的な負担はそれなりに大きなものとなるでしょう。

もちろん中間的にある程度の糖質を減らす、あるいは徐々に糖質の摂取量を減らしていくという方法もあり、どれくらいの期間でどれくらいの体重を減らしたいか、あるいはどれくらいの精神的および肉体的な負担を許容できるか、によって変わってきます。つまり制限する量の割合は、個人の目的や体質によるということです。

いずれにせよダイエットという目的において、糖質制限ほど合理的な方法はなく、次の項目では改めてそのことについて触れます。メディアではいまだに糖質制限がありかなしかという議論をやっていますが、そんなものは馬鹿げています。

そもそも現代人、特に大部分の日本人は、摂取カロリーの依存度が過度に糖質に偏っており、そのことが肥満につながっているという側面があります。また、どのみち痩せたいのであれば、必ずある程度は糖質を制限しないといけません。