ISの首都 | 3年ぶり解放

ロイター通信などによると、米軍などの支援を受けてシリアで活動するクルド人主体の武装民兵組織「シリア民主軍」(SDF)が17日、過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と位置付けるシリア北部ラッカを制圧した。ISが2014年から実効支配してきたが、約3年ぶりに解放される見通し。ISは7月に隣国イラクの最大拠点モスルも失っており、これで両国の重要拠点をほぼ喪失して組織が破綻した。

 現地からの情報によると、SDFは17日、IS戦闘員が立てこもっていた市内のスタジアムと病院を制圧した。ただ周辺には地雷も多く残り、残党が潜んでいる可能性もあるという。SDFは数日前に地元の部族指導者と協議しIS戦闘員の一部の退去を認めたが、投降を拒んだ外国人戦闘員ら約200人が抗戦していた。

 ラッカの陥落で、IS掃討作戦の焦点は東部デリゾールに移る。周辺は油田地帯で、原油密輸を主な資金源としてきたISの勢力圏の一つ。内戦が続くシリアでは、ロシアが支援するアサド政権軍と、米軍やSDFが別々にデリゾール攻略を進めており、偶発的衝突も懸念される。IS撤退後の統治を巡り主導権争いが激化する可能性もある。

 ラッカ奪還作戦は16年11月に開始。SDFは今年7月、旧市街の城壁を破壊して進入ルートを確保し、市中心部に突入した。IS戦闘員は住民を「人間の盾」として立てこもって抵抗。民間人の死亡も相次ぎ、国連などが度々懸念を表明した。爆撃で市内の給水用パイプラインが破壊され、安定して水を確保できない住民が市内を流れるユーフラテス川の不衛生な水を飲み、病気になる事例も頻発した。今後は市民の安全確保に加え、衛生状況改善やインフラ復旧が急務となる。